GitHub Copilot Fusion:Standard・High・Maxの違いと料金、BYOK
日常のコーディングにはFusion Standard、範囲が明確な難しい変更にはHigh、深い推論が追加の利用量に見合う場合はMaxを試します。各レベルの対象プラン、2026年11月30日までの30%割引、BYOKが自動的にFusionへ入らない理由、企業の既定設定を解説します。
目次

日常的なコーディングでモデル選択をCopilotに任せたい場合は、GitHub Copilot Fusion Standardから始めます。範囲が明確な難しい変更にはHighを試し、深い推論で手戻りの負担を減らせそうならMaxを検証します。特定のモデルや独自のAPIエンドポイントが必要なら、モデルを直接選択します。
2026-10-31時点では、FusionはVS Code、Copilot CLI、GitHub Copilotアプリ、JetBrains IDEsで一般提供されています。GitHubの提供開始の告知では、モデルを選択して連携させる管理型の仕組みとして説明されています。実際に使えるモデルは、契約プランと管理者のポリシーによって決まります。
GitHub Copilot Fusionは何をする機能ですか?
Fusionはリクエストごとに解決方法を決め、参加するモデルも選びます。利用者はモデルの代わりに、推論や確認にかける処理レベルを選択します。
Fusionのドキュメントには、次の三つの実行パターンが記載されています。
| パターン | 実行内容 | 作業や利用量への影響 |
|---|---|---|
| Single | 一つのモデルが作業を処理します。 | 別のモデルによるレビュー段階は追加されません。 |
| Cascade | 効率を重視するモデルが解決案を作ります。評価役が採用するか、より高性能なモデルへ引き継ぐかを判断します。 | 難しいリクエストでは、草案の作成、評価、引き継ぎ後の処理が発生する場合があります。 |
| Critique | 複数の別モデルが草案を並行してレビューします。元のモデルが、まとめられた指摘を使って回答を修正します。 | レビューと修正によって、モデルの利用量と処理時間が増えます。 |
同じ会話でも、次のプロンプトでは別のパターンを使う場合があります。HighやMaxを選んでも、すべてのリクエストがすべての段階を通るわけではありません。
Artificial Analysisの提供開始時のレポートでは、Claude Opus 5.5、Claude Sonnet 5.5、GPT-6 Astra、GPT-6 Solが挙げられています。これは提供開始時点のモデル構成です。GitHubは候補を変更でき、適用されるポリシーによって候補が絞られることもあります。
Standard・High・Maxはどのプランで使えますか?
追加の推論やレビューが必要な作業を除き、まずStandardを選びます。「すべてのプランで利用可能」という説明は、すべての処理レベルが全プランに含まれるという意味ではありません。
| 処理レベル | 最初に試す作業 | 複数モデルの連携 | 2026-10-31時点の対象プラン |
|---|---|---|---|
| Fusion Standard | 日常のコーディング、説明、単純な変更 | 作業に使うモデルを一つ選びます | Free, Student, Pro, Pro+, Max, Business, Enterprise |
| Fusion High | 複雑な不具合、完了条件が明確な複数ファイルの変更 | レビューや高性能モデルへの引き継ぎで、呼び出しを追加する場合があります | Pro+, Max, Business, Enterprise |
| Fusion Max | 問題の見落としが大きな手戻りにつながる難しい調査 | モデル呼び出しを追加する場合があり、深い推論を優先します | Pro+, Max, Business, Enterprise |
Copilot ProにはFusion HighとMaxが含まれません。 VS Code 1.144のリリースノートでも、利用できる有料プランの一覧を確認できます。
Standardが選ぶ「一つのモデル」は、コーディング作業全体のAPI呼び出しが一度だけという意味ではありません。エージェントはファイルの読み取り、ツールの実行、結果の確認を進めながら、同じモデルを繰り返し呼び出せます。
Fusion Fastは、VS Codeのインラインチャットで内部的に使われる別の選択肢です。利用者が選択することはできません。
変更の規模が大きくても範囲が明確なら、Maxの前にHighを試します。Highが重要な依存関係を見落とす場合や、失敗の原因を説明できない場合はMaxを検証します。これは試す順序の提案であり、各レベルの実測に基づく性能保証ではありません。
Fusionを試して結果を確認するには?
対応クライアントを更新し、リポジトリ内の小さな作業から始めます。IDEまたはCopilotアプリでは、モデル選択メニューからCopilot Fusionを選び、Standardを指定します。
CLIで試す場合は、GitHubのインストール手順を使います。npmでのインストールにはNode.js 22以降が必要です。リポジトリのディレクトリで、Bashから次を実行します。
npm install -g @github/copilot
copilot --model fusion --fusion-tier standard
認証を求められたら、/loginを入力してGitHubへのログインを完了します。組織から提供された利用権を使う場合は、その組織でCopilot CLIのポリシーも有効になっている必要があります。
対話セッションに次のプロンプトを入力します。
Trace how this repository loads and validates configuration.
Identify the relevant source files and existing tests.
Propose one missing edge-case test and explain its expected result.
Do not edit files.
このプロンプトは、設定を読み込んで検証する処理、関連ファイル、既存のテストを調べるよう求めています。ファイルを変更せず、まだ検証されていない境界条件のテストと、その期待結果を提案させます。
有用な回答には実在するファイルが示され、提案されたテストと既存の動作との関係が説明されます。示された参照先をコードと照合してください。回答は同じセッション内に表示されます。
CLIのモデル選択リファレンスには、--model fusionと--fusion-tier standardが記載されています。利用条件を満たす別のレベルには、highまたはmaxを指定します。対話セッションでは、/modelでモデル選択メニューを開けます。
CLIでは、ステータス行で選択中のモデルを確認します。VS Codeでは、回答の下にある処理レベルの名前にマウスを重ねると、使用したモデルを確認できます。単純な作業が一つのモデルだけで処理されるのは正常です。
Fusionが表示されない場合は、クライアントを更新し、プランの対象条件とモデルポリシーを確認します。候補となるモデルが一つも使えない場合、Fusionはメニューから消えます。
従来の年払い・リクエスト課金プランを継続していないかも確認してください。この旧プランには、新しいモデルや機能が追加されません。
FusionのAI creditsはどう計算されますか?
Fusionでは実際に使ったモデルの利用量が課金され、モデル連携のための別料金はありません。HighとMaxでは、草案作成、評価、修正が増えると、課金対象のトークンも増える場合があります。
GitHubのモデル料金リファレンスでは、入力、出力、キャッシュ済み入力、該当するキャッシュ書き込みの料金が分かれています。一つのAI creditは$0.01 USDの利用額に相当します。そのため、一つのプロンプトに固定のクレジット料金が設定されているわけではありません。
2026-10-31時点のGitHubの課金ドキュメントでは、2026年11月30日までFusionのモデル利用料が30%割引になります。「有料プラン」が対象という記述に従えば、有料のBusinessとEnterprise契約も対象です。割引はモデル利用料に適用され、ユーザーごとの契約料金は別です。
計算例として、ある作業で発生したすべてのモデル呼び出しが、通常料金で合計$1.00だったと仮定します。この合計には、該当するキャッシュ料金も含めます。
- 割引対象の利用:$1.00 × 0.70 = $0.70、つまり70 AI creditsです。
- 同じ利用量で割引がない場合:$1.00、つまり100 AI creditsです。
これは仮定した合計額であり、先ほどのプロンプトの予想料金ではありません。実際の費用を見積もるときは、参加したすべてのモデルのトークン料金を合算します。
プランに含まれるクレジットを使った分は、その残量から差し引かれます。追加の有料利用になるのは、含まれる枠を使い切り、有料利用も有効になっている場合です。
BusinessとEnterpriseでは、まずプランに含まれる共有クレジット枠を消費します。枠を使い切った後、有料利用が許可されていれば追加料金が発生します。超過料金を発生させたくない管理者は、AI credits paid usageを無効にします。この設定は既定で有効です。
試した後は、GitHubの課金設定にあるAI usageを確認します。モデル別の消費量と、得られた結果の品質を合わせて判断してください。Fusionは主なモデルのキャッシュを維持しようとしますが、すべての作業で費用が下がるとは限りません。
BYOKのエンドポイントやローカルモデルも使いますか?
自分のAPIキーを持ち込むBYOKでモデルを追加しても、Fusionの候補に自動登録されるわけではありません。GitHubはローカルモデルの選択に関する告知で、この点を明記しています。
利用者が設定するBYOKでは、対応クライアントが設定先のプロバイダーへモデルのリクエストを送ります。特定のエンドポイントやプロバイダーのアカウントを使いたい場合は、そのカスタムモデルを直接選択します。選択メニューに表示されても、Fusionが使える証拠にはなりません。
別の互換APIを使う手段として、BetterTokenのドキュメントにはOpenAI互換のベースURL https://www.bettertoken.ai/v1が記載されています。クライアントが必要とするプロトコルを設定してください。ゲートウェイのエンドポイントを追加するだけで、そのモデルがFusionに参加するわけではありません。
ローカルモデルの自動選択には、対象を限定したプレビュー機能があります。
- Fusion Standardは、対応するローカルのMAI Code 1.1 Flashを利用できます。管理機能を使ったダウンロードでは、対応するWindows端末上のWindows MLを使います。
- Copilot CLIでは、Windows、macOS、Linuxで手動設定した対象ローカルモデルも利用できます。GitHubはQwen3.8 Flash Nextを
qwen3.8-flash-next-localとして認識すると説明しています。 - CLIでは、
--experimentalまたは/experimental onで実験的機能を有効にしてからStandardを選びます。Copilotアプリの自動選択は、現時点では管理機能で導入したWindows MLモデルに限られます。
プロバイダーの設定方法と必要なハードウェアは、GitHubのローカルモデル設定手順を確認してください。Fusionは引き続きクラウドで振り分けを判断します。ローカルで推論しても、Fusion全体をオフラインで利用できるようにはなりません。
別のコーディングツールでローカルモデルを明示的に選ぶ場合は、Claude Codeでローカルモデルを使い、クラウドへ戻す方法を参照してください。
Fusion MaxとClaude Codeのベンチマークはどう違いますか?
APIの従量課金を重視するなら、Fusion Maxは試す価値があります。ただし、公表結果はサブスクリプション料金の安さを証明するものではありません。Artificial Analysisが測定したのはCopilot CLIのMaxであり、StandardやHighではありません。
2026-10-31に確認した10月28日のレポートと比較ページには、次の結果が掲載されています。
| 指標 | Fusion Maxを使うCopilot CLI | Opus 5.5 Max, Default Fallbackを使うClaude Code |
|---|---|---|
| Coding Agent Index v2.0 | 60 | 62 |
| 作業あたりの平均API費用、USD | $5.59 | $11.42 |
| Terminal-Bench 4.0 | 71% | 63% |
| FrontierCode v1.1 | 51% | 56% |
| SWE-Atlas-QnA-AA | 57% | 66% |
公表された費用の差は、ベンチマークの作業あたり$11.42 − $5.59 = $5.83です。計算すると、(1 − 5.59 ÷ 11.42) × 100 = 約51.1%低いAPI費用になります。この割合は、あくまで公表されたベンチマーク費用の比較です。
AAの測定方法は、該当するキャッシュ済み入力とキャッシュ書き込みの料金も考慮します。費用指標が対象とするのはトークン利用料です。一般向けの契約料金や、運用全体の費用を含む比較ではありません。
$5.59から、さらに30%を差し引かないでください。引用したAAのページでは、GitHubの期間限定割引がこの金額へどう反映されているかは確認できません。
この結果からは、難しいターミナル作業でAPI費用を重視する場合、まずFusion Maxを試すことを勧めます。費用差よりもリポジトリ変更やコードに関する質問の正確さを重視する場合は、先にClaude Codeの構成を試します。自分の作業の結果、修正にかかる時間、請求額が異なる傾向を示したら、選択を見直してください。
比較対象をそろえるため、Claude CodeをOpus 5.5に設定する方法を使い、処理レベルとフォールバック設定を記録します。公表結果の「Default Fallback」は、測定された構成の一部です。
管理者はFusionをどう制御できますか?
利用を許可するモデルと、既定の選択肢は別々に設定します。既定値を設定しても、モデルポリシーや支出制限の代わりにはなりません。
Enterpriseの所有者は、AI controls → Copilotを開きます。ModelsセクションでConfigure Copilot Fusion modelsを選びます。Enterpriseのモデル制御手順に従い、各モデルの状態を設定してください。あるモデルをFusionの候補から除外しながら、手動選択では利用可能なままにできます。
ほかのモデルポリシーも引き続き適用されます。Fusionはプランや組織の制限を回避できません。データ所在地、FedRAMP準拠、評価用モデルに関するポリシーも適用されます。
GitHub上でEnterpriseの設定を管理する場合は、次の手順を使います。
- 指定する組織の
.github-privateリポジトリを作成するか、既存のものを使います。 - AI controls → Agents → Configuration sourceで、その組織を選びます。
copilot/managed-settings.jsonに次のJSONを追加します。- リポジトリの既定ブランチへコミットします。
{
"model": "fusion",
"fusionTier": "standard"
}
この例では、新しい会話の既定値をFusionにし、その処理レベルをStandardに固定します。それでも利用者は、会話ごとに別のモデルを選択できます。
この例の"fusionTier": "standard"は、利用者やリポジトリの設定によるレベルの上書きを防ぎます。Enterprise内のチームに例外を設ける場合は、管理対象設定のリファレンスにあるoverridableを確認してください。
fusionTierキーには、Copilot CLI 1.0.104-3、VS Code 1.144.0、Copilotアプリ1.1.33-4、またはそれ以降が必要です。2026-10-31時点では、JetBrainsはFusionを利用できますが、管理対象のmodelとfusionTierキーには対応していません。
管理対象設定の導入手順に従い、AI controls → Agentsで検証エラーを確認します。クライアントを再起動するか、再度サインインして設定を更新してください。その後、新しい会話がFusion Standardで始まるかを確認します。
既定値が反映されない場合は、クライアントのバージョン、選択した設定元、利用者へCopilotライセンスを提供しているEnterpriseを確認します。
作業手順に影響する制限は何ですか?
Fusionが途中の草案を却下しても、作業フォルダーの変更を確認してください。GitHubは、その草案がすでに行ったファイル編集は自動的に取り消されないと説明しています。
編集を伴う作業の後は、git status、git diff、git diff --cachedを確認します。新しいファイルも調べ、関連する検証を実行してからコミットしてください。最終回答が整っていても、それ以前の編集がすべて適切だとは限りません。
Fusionには、独自のコンテキストウィンドウもありません。各段階では、その処理を実行するモデルの上限が適用されます。表示されるFusionの上限は控えめな値であり、Maxへ変更しても複数モデルのコンテキストウィンドウが合算されるわけではありません。
また、Fusionはサブエージェントを起動しません。役割を分けた別々のエージェントが必要な場合は、その委任を別途設定します。Fusion内部のレビュー担当モデルは、各エージェントに与える指示の代わりにはなりません。