Veo 3.1で採用動画1本はいくらか:尺・解像度・再生成回数で計算する
Google Gemini APIの公式料金を基に、Veo 3.1の1回分の価格、再生成シナリオ、複数ショットの集計、制作総予算との比較方法を解説します。
目次

Fastの1080pなら8秒を1回生成して$0.96なので、それをそのまま「使えるショットのコスト」と見積もってしまいがちです。しかし、3本目でようやく採用できたなら請求額はすでに$2.88です。複数ショットの動画では差がさらに広がります。この記事を読めば、ショット単位で成片コストを出し、再生成の損切り回数を決め、納品条件ごとに最初に試す種別と解像度を選べます。
採用動画の実コストは、全ショットの課金対象試行を合計する
納品できる動画の生成コストは「完成尺 × 1回分の単価」ではなく、全ショットで発生した課金対象試行の合計です。
正常に生成された1回分のコスト:
課金秒数 × 選んだ種別・解像度の1秒単価
採用動画の生成コスト:
Σ(各ショットの課金秒数 × 1秒単価 × 課金対象試行回数)
たとえば、Fast 1080pで8秒を1回生成すると 8 × $0.12 = $0.96 です。3本目が初めて使える結果だった場合、そのショットの生成コストは $0.96 × 3 = $2.88 になります。
ここでいう「課金対象試行」は、正常に動画が生成され、料金が発生したバージョンです。動画自体が生成されなかったリクエストと、生成後にクリエイティブ審査で不採用にした動画は分けて考えます。
場面別に、最初に試す種別を決める
コストを最優先するなら、720p・1080pはLite、4kはFastから試し、現在の選択が具体的な採用条件を満たさないときだけ別の種別へ進みます。
| あなたの場面 | 最初に試す種別 | 理由 | 選択を変える条件 |
|---|---|---|---|
| 大量のラフ、SNSテスト、社内プレビュー。720p/1080pで足りる | Lite | 720pは$0.05/秒、1080pは$0.08/秒で、3種別の中で公式単価が最も低い | 被写体、動き、構図、一貫性の採用条件をLiteが満たせないならFastを試す |
| 1080pが必要で、最高単価から始めずに試行回数を確保したい | Fast | 1080pは$0.12/秒で、Standardの$0.40/秒より低い | Fastが損切り回数に達しても不合格なら、まずプロンプトや絵コンテを変更し、それでも比較が必要な場合だけStandardを試す |
| 最終納品で4kが必須 | Fast | 4kは$0.30/秒。Liteは4k非対応で、Standardは$0.60/秒 | Fastが明確な採用項目を満たさない場合だけ、同じショットをStandardで比較する。全ショットを最初からStandardにしない |
| シーン延長、最終フレーム制御、既存パイプラインとの統合が必要 | Veo 3.1 | GoogleがVeo 3.1の具体的な用途として挙げている | これらが不要なら、Veo 3.1に決める前にGemini Omni Flashも比較対象に入れる |
これはコスト優先のテスト順であり、画質ランキングではありません。安い種別でも採用できる保証はなく、高い種別でも初回で通る保証はありません。先に採用条件を書き出し、それを実際に満たす中で最も安い流れを選びます。
公式単価が1回ごとの最低コストを決める
**2026年9月24日時点で、Gemini APIのVeo 3.1有料利用は秒単位で課金され、種別と解像度の両方が料金を決めます。**価格やモデル状態は変わり得るため、予算確定前にGoogle公式料金ページを再確認してください。
| 種別 | Model ID | 720p | 1080p | 4k |
|---|---|---|---|---|
| Standard | veo-3.1-generate-preview | $0.40/秒 | $0.40/秒 | $0.60/秒 |
| Fast | veo-3.1-fast-generate-preview | $0.10/秒 | $0.12/秒 | $0.30/秒 |
| Lite | veo-3.1-lite-generate-preview | $0.05/秒 | $0.08/秒 | 非対応 |
予算に直結するポイントは4つです。
- Standardは720pと1080pが同額です。納品で1080pが必要なら、API料金を下げる目的で720pに戻す意味はありません。
- Fastは1080pの$0.12/秒から4kの$0.30/秒へ上がり、2.5倍になります。
- Liteは4k非対応なので、4k案件はFastまたはStandardで見積もります。
- 表示価格はデフォルトで音声付き動画の料金です。安全に差し引ける無音割引は公開されていません。
3つのVeo 3.1モデルIDはいずれも無料枠がありません。Googleは、特定の音声処理問題で動画が生成されない場合、正常に生成されたときだけ課金されるとも説明しています。生成後に不採用にしたバージョンは、実際の請求に従って記録します。
8秒ショットは、1回・3回・5回でいくらになるか
**1回分が安く見えても、課金対象試行が増えれば請求額も同じ比率で増えます。**8秒は計算を分かりやすくする例であり、固定尺や最大尺を意味しません。
| 種別 | 8秒・720p | 8秒・1080p | 8秒・4k |
|---|---|---|---|
| Standard | $3.20 | $3.20 | $4.80 |
| Fast | $0.80 | $0.96 | $2.40 |
| Lite | $0.40 | $0.64 | 非対応 |
8秒・1080pのショットを再生成する場合:
| 課金対象試行回数 | Standard | Fast | Lite |
|---|---|---|---|
| 1回 | $3.20 | $0.96 | $0.64 |
| 3回 | $9.60 | $2.88 | $1.92 |
| 5回 | $16.00 | $4.80 | $3.20 |
この表から画質の優劣は判断できません。ただし、1ショットに何回分まで払うかは決められます。Fast 1080pを5回で打ち切るなら、そのショットのAPI予算は$4.80です。上限に達したら、無制限に再生成せず、プロンプト、絵コンテ、またはワークフローを変えます。
複数ショットの動画は、必ずショット単位で計算する
**完成尺32秒に1回分の単価を掛けるだけでは、破棄した全バージョンの費用が抜けます。**制作表はプロジェクト1行ではなく、ショットごとに1行を持たせます。
8秒のショットが4本あり、すべてFast 1080p、$0.12/秒だとします。課金対象試行回数がそれぞれ1、2、3、4回なら:
| ショット | 秒数 | 試行回数(例) | 計算 | コスト |
|---|---|---|---|---|
| A | 8 | 1 | 8 × $0.12 × 1 | $0.96 |
| B | 8 | 2 | 8 × $0.12 × 2 | $1.92 |
| C | 8 | 3 | 8 × $0.12 × 3 | $2.88 |
| D | 8 | 4 | 8 × $0.12 × 4 | $3.84 |
| 合計 | 採用尺32秒 | ショット試行10回 | $9.60 |
32秒を1回だけ生成したと仮定すると$3.84ですが、ショット単位では$9.60です。追加の$5.76は完成動画が長くなったからではなく、追加バージョンから生じています。
採用率が分からないときは、3つの上限を置く
**根拠のない「業界平均再試行率」を使わず、各ショットに目標・ストレス・損切りの3シナリオを設定します。**これで制作前に支出レンジが見え、いつ止めて設計を変えるかも明確になります。
- **目標シナリオ:**通常のショットで妥当と考える試行回数。
- **ストレスシナリオ:**複雑な動きや重要なヒーローショットに置く高めの上限。
- **損切りシナリオ:**到達後にプロンプト、絵コンテ、解像度、種別のいずれかを変えるハードリミット。
同じ8秒・Fast 1080pなら、1回、3回、5回で$0.96、$2.88、$4.80です。3回を目標、5回を損切りにできます。6回目以降は毎回$0.96ずつ増えますが、採用に近づく保証はありません。
重要なショットは上限を高くしても構いませんが、生成前に予算へ書き込みます。そうしないと「1回が安い」ことを理由に再生成が止まらず、合計が高単価の選択肢を上回ることがあります。
解像度は納品条件で選び、すべてのラフを4kにしない
**4kが本当の納品条件でない限り、ショットを評価できる最低解像度を使い、4kは選ばれた最終素材だけに残します。**これにより初回だけでなく、失敗した再生成のコストも抑えられます。
2026年9月24日に確認した料金では:
- Standard:720pと1080pは同額、4kは50%高い。
- Fast:1080pは720pの1.2倍、4kは1080pの2.5倍。
- Lite:1080pは720pの1.6倍、4kは非対応。
Standardでワークフローが1080pに対応するなら、720pと1080pのAPI価格は同じです。Fastでは差が大きく、8秒ショットは1080pで$0.96、4kで$2.40です。5回生成すると$4.80対$12.00になります。
SNS、社内プレビュー、構図確認などで4kが必須でないなら、規格統一のためだけに全中間版を4kへ上げないでください。納品先が本当に必要とするときだけ、採用ショットに4kを使います。
API料金を制作総予算へ戻す
**生成は制作費の一項目にすぎず、編集、音、字幕、人による確認も同じ予算に入れます。**生成が安い案件では選定と編集の方が高くなることがあります。高解像度と多い再生成が重なると、API料金が主要費用になります。
各ショットに最低限、次の項目を記録します。
| 項目 | 入力内容 |
|---|---|
| ショットID | A、B、C、または絵コンテ名 |
| 課金秒数 | 実際の請求記録にある秒数 |
| 種別と解像度 | Standard、Fast、Lite;720p、1080p、4k |
| 現在の単価 | 公式ページの1秒単価 |
| 目標/損切り回数 | 計画回数とハードリミット |
| 実際の課金対象試行 | リクエスト結果と請求記録に基づく回数 |
| ショット生成コスト | 秒数 × 単価 × 課金対象試行 |
| 採用結果 | 採用、修正、放棄 |
プロジェクト全体では:
制作総予算 = 総生成コスト + 編集 + ナレーション/音楽 + 字幕/ローカライズ + 人的確認 + 保存その他の費用
2つのワークフローを比較するときは、1秒単価だけを比べないでください。実際の試行回数、選定にかかった時間、後処理費を同じ表へ入れると、どちらが本当に安いか分かります。
公開価格で分からない数字は、自分の記録を使う
**公開価格で分かるのは1秒単価までで、あなたの再試行率、採用率、税金、実際の課金丸めは分かりません。**これらは最終予算を直接変えるため、リクエスト履歴と請求記録から取得します。
Googleの公開料金には普遍的な平均再試行回数がなく、どの種別も初回で採用されるとは約束されていません。1回・3回・5回は予算シナリオであり、モデル成功率ではありません。
実績精算では、現在のリクエストが対応する尺、アカウントに表示された課金秒数、実際の課金対象試行、自社の採用履歴を使います。案件が増えたら、人物、商品、複雑な動き、台詞などのショット種類別に試行回数を集計すると次回の見積もりが改善します。
税金、為替、カード手数料、プラットフォーム手数料は別に加えます。Gemini API、Vertex AI、Flow、Geminiアプリのサブスクリプション、第三者APIは課金方法が異なる可能性があるため、同じ単価表に混ぜないでください。
よくある質問
Veo 3.1は1秒いくらですか
2026年9月24日に確認したGemini API料金では、デフォルト音声付き動画はLite 720pの$0.05/秒からStandard 4kの$0.60/秒までです。正確な単価は種別と解像度で決まります。
音声なしなら安くなりますか
公式料金ページはデフォルト音声付きの価格を示し、計算に使える無音割引を公開していません。現在の公式ページに別単価が明記されない限り、音声費用を独自に差し引かないでください。
生成失敗にも課金されますか
Googleは、一部の音声処理問題で動画が作成されなかった場合、正常に生成されたときだけ課金すると説明しています。生成後にクリエイティブ審査で落としたクリップは別で、実際の請求に従って数えます。
Veo 3.1に無料枠はありますか
現在の公式料金表では、3つのVeo 3.1モデルIDすべてに無料枠がありません。テストも有料試行として予算化します。
4ステップで予算を作る
**納品仕様から始め、1回分を計算し、最後に再生成の損切りを決めます。**次の順番で進めます。
- 各ショットの尺、解像度、採用条件を書き出す。
- コスト優先の順で最初の種別を選び、1回分の価格を計算する。
- 1回・3回・5回のシナリオを出し、重要ショットにハードリミットを置く。
- 生成後は実際の請求と採用結果をショットごとに記録し、編集、音、字幕、人件費を加える。
合計が高すぎる場合は、まず不要な4k生成と無制限の再生成を減らし、その後に別の種別やショット再設計を検討します。これで、再生成によって何倍にもなり得る見かけ上安い1回分ではなく、納品できる動画の総コストを最適化できます。